豊の秋
料理
一雨毎の…と言うには、今年の雨はあまり趣き深いとは言えませんが、そろそろ体感としても、小さな秋を感じる頃でしょうか?
さて、早速ではありますが、最近はお料理のお知らせが滞っておりましたので、今お出ししているお料理を(次の献立に変わる前に慌てて!)前菜の写真と共にご紹介しますね。
今回はまさしく、実り豊かな秋本番。
コースの随所に秋が散りばめられておりますので、皆さまストレートに、その趣きを味わっていただけると思います。
この時期定番の柿釜の白和えを筆頭に、丸十(薩摩藩島津家の家紋が丸に十文字だったことから、日本食では、薩摩芋のことを丸十と呼ぶ事も多いです)や銀杏などの吹き寄せ、どんぐりに見立てた鶉の卵もありますよ。
稲穂を揚げて、お米がポン菓子みたいになったのは、懐かしさを覚える方もいらっしゃるかもしれませんね☆
今では日本でも根付いたハロウィンのイベントですが、日本も秋は昔から、収穫を祝い感謝する時期です。
稲穂は勿論、基本的にお米に関わるものは、収穫祈願や感謝に通じるものが多いようですよ。
例えば「おむすび」。
これは山の神様の力を授かりたいと、豊作を願って三角形になりました。
人と神との結び付きを欲したのか、名前も古事記由来の「結びの神」からついたという説も。
なので時代劇などではよく見かける、竹皮に包んだ真ん丸のものは、握り飯、などと呼ばれることが多いですよね。
それから「お酒」。
こちらも原料はお米ですから、神さまに捧げ感謝し、我々人間も同じものを口にすることで恩恵を授かりたいという、神人共食の考えは根強いようです。
挙げればお餅やお月見団子などもそうですね。
基本的に日本の伝統行事は、神事に基づくものが多いので、ベースにはどれも神人共食の考えがあるようです。
日本は特に、奉りながらも、意外に神さまとの距離が近しい国な気がしてきませんか?
他にも、秋と言えば!が盛りだくさんの現献立。
熊本は特に秋が短いですし、全国的にも、夏と冬に両極化した気候へと変わってきているようですから、たまにはどっぷり、溢れる秋に浸りにいらしてくださいね。
<文:有桂>