色味
料理
今年は暖冬とのことですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
暖冬とはいえ関東では早くも初雪が観測され、寒暖差の大きいシーズンとなりそうですね。
体に負担がかかってお疲れの出る方も多いかもしれません。
いよいよ師走───無事に一年を締め括ることが出来ますよう、どうぞご自愛ご専一に。
本年最後の献立は、「玄冬」の献立です。
五行思想では、4つの季節にはそれぞれ色がありますが、よく知られているのは「青春」ですね。
春はまだ青く、人の齢に当てはめても、まさしく青春真っ盛りな若い世代を指していて、時間帯に当てはめると朝となります。
全ての始まりで、これから世界は広がり、色々なものを吸収・成長していく時です。
夏は赤色で「朱夏」。
人にして30代くらい、時間ではお昼ごろ。
もっとも躍動的な活動期、沢山のものごとを蓄え、深める為の前段階といったところでしょうか。
秋は白、北原「白秋」で有名ですね。
年齢も4、50代になり、時は夕方を刻みます。
この頃になると実りを迎え、様々な成果も出てきます。
けれどまだ極めてはおらず、それはやはり色通り「素人─しろうと─」ということなのでしょう。
そしてついに「玄冬」。
こちらは黒色で、5、60代以降、時間も夜になりました。
よく何かを極めた人、プロフェッショナルな人のことを「玄人」と言いますよね。
それから、人生の終わりごろを「晩年」とも言います。
絵の具の色を全て混ぜると、当然、赤や白、ましてや透明になどなりません。
場合によってはただ濁るだけで、黒色とは程遠い、ただの暗い色になっていきます。
冬はものごとの締め括り、全てが成熟して、極めて、新たな芽吹きを前に、今を綺麗に完結させる時です。
この一年を振り返った時、皆さまの色は何色になりそうですか?
若い方は青春の名の通り、まだ青く鮮やかに色付いている方もいらっしゃるかもしれませんね。
それは勿論、素敵なことですので自信を持って大丈夫ですよ☆
ご年配の方は、深まるシックな色合いに、重ねてきた年月を実感される頃かもしれません。
いやいや未だ輝いて、丸く収まるにはまだ早い!と、気概を示す方もいらっしゃることでしょう。
最近は事実、若く元気な方が多いですからね☆
冬は締め括りの季節。
この一年を振り返り、これまでの道行きを振り返り、一区切り考える時期です。
人それぞれ段階は違いますから、見える景色は千差万別、色も色々、様々あって、何が正解などはありません。
ただ、月並みな表現ではありますが、その人にとっての“いい色”ではありたいですよね。
当店も“とみたらしい色”に染まっているでしょうか。
とみたでの時間が、少しでも皆さまの一時に色を添え、豊かな時間の一端を担えましたら幸いです。
今回は少し、料理屋のブログからは、話が逸れてしまいましたが。。。
最後に少し料理屋らしいことを添えておくと…今年の冬至は12月22日。
この日まで太陽の出ている時間はだんだんと短くなり、生き物としての生命力も弱っていきます。
それを補う為に、栄養のあるものをしっかり摂って、健康な状態で年を越せるよう過ごしましょう、というのがこの時期の料理です。
冬至に関わるメジャーなもので言えば、柚子や南瓜、小豆にお餅などでしょうか。
これらもしっかりコースに加え、この冬、この一年を無事に乗り切り、次なる春を元気にお迎えいただけますよう願っております。
<文:有桂>