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想う

料理

今日は成人の日ということもあり、晴れ着姿に身を包む新成人の華やいだ姿を、あちらこちらで見かけますね。

新成人の皆さま、おめでとうございます。

 

ところでこの成人の日、2000年からは1月の第2月曜と定められましたが、それ以前は1月15日と決まっていました。

2000年前後に生まれた方は、何故日にちが決まっていたのか分からない方も居らっしゃるかもしれませんが、答えは旧暦に関係しています。

昔の日本では、新月の日を1日、満月(=十五夜)の日を15日としていて、満月には特別な力があると考えていた為、(1月1日が大正月であるのに対し)15日を小正月としたそうです。

そしてこの日に元服の儀(成人の儀式)を行っていたことから、1月15日が成人の日となっていました。

今でも1月15日といえば、この日までを松の内とし、どんど焼きや鏡開き行う地域も多いですよね。

(関東など徳川幕府の影響が強かった地域は、7日までを松の内とするところが多いです。)

 

という訳で、15日を過ぎると多くは正月気分も抜け、日常生活を送っている頃かと思います。

とみたの献立も華やかな正月を終え、シックかつ、年末年始でお疲れ気味の方にも優しい献立に変わっておりますのでお知らせいたします。

 

写真はいつものように前菜です。

そろそろ梅の開花が待ち遠しい頃ですよね。

梅は香りがとても良くて、歌も数多く詠まれています。

その内の一つ「春の夜の 闇はあやなし 梅の花 色こそ見えね 香やは隠るる」は、羊羹で有名な某和菓子屋さんの「夜の梅」の由来なのだそうですよ!

確かに、香りがして、梅の木がある事に気付く事もありますもんね。

またこの作者は、「月夜に梅の花を一枝折ってください」と言われた際には、次の歌を詠み添えて贈っています。

「月夜には  それとも見えず 梅の花 香をたづねてぞ 知るべかりける」

(月光に白く照らされては白梅の花とは分かりませんが、その香りをたどっていくと分かるんですよ)

その情景を想像すると、思わず笑みがこぼれるようです。

 

今回の前菜には、冬の低い太陽のおかげで、窓から日がよく差し込んで出来る日だまりをイメージしたお料理があるのですが、その温もりに心がほころぶのは、きっと夜の暗さや寒さを知っているからですよね。

夜の外出は特に億劫になってしまう時期ですが、夜道を歩くことがありましたら、どこからともなく漂う香りにその姿を浮かべながら、行く先の温かさも思い出してくださいね。

 

<文:有桂>