玄冬
料理
愛日とはよく言ったもので、陽の光が恋しい季節になりました。
皆さま、お風邪など召されていませんか?
気付けば11月も終わろうとしていて、あっという間に年末です。
とみたのおせち作りもいよいよエンジンがかかる頃ですが…
その前に、献立が変わっておりますので、前菜の写真と合わせてご紹介いたしますね。
ついに、今年を締めくくる最後の献立です。
冬の風情を堪能して頂きながらも、無事に年を越せますよう、随所に願掛けを含んだコースになっています。
例えば前菜で分かりやすいのは、「南瓜小豆のいとこ煮」と「柚子豆乳焼き」です。
南瓜は特に冬至の日によく食べられる食材ですが、これは、風邪などをひかないよう、栄養価の高いものを摂って健康を願っています。
また柚子も、この時期積極的に摂りたい栄養が豊富なことはもちろん、冬で陽の力の弱い時期に、輪切りにした断面が日輪に似ていることから、陽の力を補おう、というおまじないに似た意味も込められています。
先人の知恵と感性には、いつも驚かされますね。
それからぐっと後半まで飛んで、今年は締めに「鰊蕎麦」をご用意しました。
一部の地域を除き、日本人の多くに馴染み深い「年越し蕎麦」をイメージしております。
蕎麦は栄養価も高く、無事に新年を迎えられるよう健康を願って食べられますが、その他にも、細くて長い形状から、今後とも末永く良縁が続きますように、との願いも込められています。
同時に蕎麦は切れやすくもあるので、これまでの苦労や災いは断ち切ろう、という意味も含んでいます。
さらに蕎麦の薬味といえば、「ネギ」は欠かせませんよね。
ネギには、「心を和らげる」という意味の古語「労ぐ(ねぐ)」や、神の心を和ませてその加護を願う役目を担った神職「禰宜(ねぎ)」の語呂合わせから、という説もあるそうです。
毎年なんとなくそういうものだから…と思って食べている方も多いかもしれませんが、実は、今年1年をねぎらい無事に年を越せるようにと、思っているよりも色々な願いが込められて、その文化を紡いできたようです。
最後に甘味として、温かい和菓子もお出ししております。
とても縁起の良い名前で、温かく食べるのは少し珍しいかもしれませんが、実は江戸時代、寒い冬の夜に大人気だったそうですよ!
一体何か分かりますか?
Facebookからご覧くださっている皆さまは、昨年の記事を思い出してみてくださいね☆
<文:有桂>