梅雨明り
料理
梅雨の雨がひと時止んで、夕方うっすら光が差すことを、梅雨明りと言うそうです。
今皆さま、何となく風情のある光景を思い浮かべませんでしたか?
ただの束の間の晴れ間が、一際情緒深い景色へと変容するのですから、言葉というのは不思議なものですね。
さて本日6月30日は「夏越の大祓」ということで、皆さま茅の輪くぐりや、水無月はお召し上がりになりましたか?
今年はまさかの「参拝客が茅の輪をむしって持ち帰ってしまう」というニュースが流れていましたが、当ブログや当店にいらしてくださっている皆さまは、そのような心配には及ばず一安心です。
半年分の穢れを祓う行事ですから、せっかく祓ったのに“それ”を持ち帰ってしまっては意味がありませんからね。
せっかくなら、家や身につける用の小さな茅の輪や、御菓司屋さんに寄って「水無月」を持ち帰りましょう☆
昔、まだ冷蔵・冷凍技術が発達していなかった頃、庶民が氷に憧れて作った三角形の和菓子。
当店では最後の甘味に抹茶とお出ししていますが、この時期ご家庭なら、冷茶と一緒に召し上がるのも涼味があって良さそうです。
では新しい献立です。(ブログでのお知らせが遅くなり申し訳ありません)
どうしても梅雨の時期と被る為、ついつい二人の逢瀬が気になってしまう「七夕」の献立です☆
中国由来の、供え物をして織姫彦星を祀り手芸の上達を願う行事「吃巧奠」と、元来日本でこの時期行われていた棚機織りが融合したこの行事は、厄払いと健康祈願、裁縫や詩歌の上達を願っています。
「七夕」と書いて「たなばた」と呼ぶのも、吃巧奠ルーツの「七夕の節句」と、穢れを祓って神にささげる織物を水の上に作って立てた機屋「棚機」で、若い乙女「棚機女」が機織りする行事の時期が重なったことから、七夕と棚機が混同されるようになった結果です。
「七夕(という字)」と「たなばた(という音)」が残り合わさりました。
日本文化は中国由来のものが多いのは事実ですが、元々同じような文化があって…という、別の地でありながら似たような風習がそもそもあったからこそ、他文化が取り入れられその地に根付いていくというのは面白いですよね。
特に星に関して言えば、まだ通信技術も発達しておらず、他文化を知る機会というのが本当に少なかった時代から、何故か似たような世界観で星々の姿が世界中で描かれ伝聞されているのがまた不思議なところです。
例えばこの織姫と彦星、ギリシャ神話でも、美女エウリュディケと竪琴の名手オルフェウス、二人の恋愛ストーリーですよね。
梅雨の時期は中々見れない星空ですが、夏の大三角として有名なデネブ・アルタイル・ベガという星の中で、琴座の「ベガ」が織姫・エウリュディケ、鷲座の「アルタイル」が彦星・オルフェウスにあたります。
そんなベガとアルタイルの間を、天の川が流れ、その中で悠々羽ばたく大きな白鳥座を描く一つが「デネブ」ですね。
日本では織姫と彦星を別つ天の川に、カササギの群れが連なり橋となって二人を会わせてくれるのですが、天の川に同じように鳥を思いはせているのがまた興味深くありませんか?
少し話が逸れましたが…
はてさて今年は無事に、二人は出会うことが出来るのでしょうか。
昔の人は、桶に水を汲んで星を映し、その水面をかき混ぜて2つの星が混じり合うよう、二人を出会わせてあげたという話もあるのですから風流ですよね。
因みにこの二人を表すベガとアルタイルは、それぞれ別々のところから夜空に上るにも関わらず、明け方沈む時は、寄り添うように同じ西の空に沈むのだそうです。
その為、織姫と彦星は、明ける西の空で出会うと言われることもあるのだそうですよ☆
星々の物語に心を傾け世界を知りながら、改めて、日本の文化も感じたい今日この頃です。
(文:有桂)